藍色さんより、いただき物です!!
「ひきこもり三蔵x花屋の店員悟空」という設定でお願いしたものです。
いや、もう、萌えっすね。
ありがとうございます、そして四万打おめでとうございました〜v
-------------------
こうやって今生きている、息をしている事さえも面倒だ。
いっその事死ねばいい・・・そう思ってもそれさえ面倒で、ただただ退屈な一日を過ごすのだ。
痛む心の傷を癒すものなんてない、ぼんやり薄暗い部屋で過ごしていくだけ。
自分自身と向かい合うのも面倒だ、痛む心・・・感じるのも面倒だ。
放心状態?そう言われたら納得するかもしれない、三蔵は静かに目を瞑った。
◇
全てが無色に見える、自分の知り合いはそう言って部屋に閉じこもっている。
花に水をやっていた悟空の手がそっと止まる。
鮮やかで虹のカケラみたいな花々達、水を浴びて気持ち良さそうだ。
綺麗に咲いて自分を誇っている花達の元気をあの人に分けて欲しい、悟空は切実に思った。
「八戒、悟浄、そろそろ行ってくる!!今日は真っ白なチューリップを届けてくる!」
「行って来いよ、あの引きこもりに言っとけ・・・さっさと来いってな」
「元気だといいのですが・・・三蔵にお伝え下さいね、いつだって来て下さいって」
「うん!!」
笑顔で頷くと、真っ白なチューリップを三本綺麗にラッピングして小さな花束にした。
そのままそれとレジの近くに置いてあったビニール袋を持って店から飛び出すように出て行く。
友人二人は静かに見守ってため息をついた、あの金髪青年を見なくなったのはどれくらいだろうか?
たぶん一年・・・だろう、去年は一度も見かけなかったから。
「三蔵、大学も結局・・・」
「・・・悟空も心配でしょうね、三蔵の事が」
「そうだな・・・アイツも傷心持ってくるからよ、分かるんじゃねーか?」
吸いかけている煙草の灰を灰皿に落とし息を漏らす。
あの不機嫌金髪野郎、一年前まであんなに不機嫌でぶっきらぼうで自分の生きる道をしっかり持ってて。
猿や八戒や俺と馬鹿騒ぎに巻き込まれてはハリセンを出していたのにな。
あんな風には戻れないのか?八戒に視線を送ると苦笑いをされてしまった。
「仕方がなかった・・・それしか言いようがないですね」
「・・・・そうだな、アレは・・・三蔵のせいじゃなかったのは確かだった・・・」
自分の知り合いで名前は玄奘三蔵、ボロアパートに住んでいる大学の先輩にあたる人だ。
かなりモテ、頭もよく、大学でも人気のある人だった。
その人は今・・・アパートから出ようとしない。
部屋から出ようとしないのだ、悟空は静かに息を吐いてインターホンを鳴らす。
押しても押しても出ない・・・悟空は深いため息をついた。
仕方なくドアノブに手を掛けて捻る、この部屋は鍵さえ掛かっていない無用心な部屋なのだ。
まぁ、部屋の住人は年中ここに居るから泥棒が入るとは考えにくい。
しかもボロアパートだし、悟空はお邪魔します!と元気に言って部屋へと入っていった。
「・・・やっぱり、てめぇか」
「居るなら出てよ・・・三蔵、お花お届けに来たよ」
「いらん、持って帰れ」
出た、この男のお馴染みの台詞。
三蔵の姿を見て悟空は目を細めてしまう、三蔵の姿はジャージなのだ。
上下ともジャージ、しかし・・・昨日も一昨日も同じジャージだったような気がする。
仕方なくテーブルに花を飾る、テーブルは花でいっぱいになっている。
この一年間、毎日毎日花を持ってきては飾っているせいだろう。
「髪ボサボサ、ちゃんと飯食ってる?」
「ほっとけ・・・煩い」
「また面倒だって言うんでしょう?駄目じゃんか、差し入れ持って来てるよ」
「・・・面倒だな、でもお前はどうせ食うまで帰らない気だろうが」
「あったりまえだよ、食わないと俺此処に住むし」
「煩いヤツが住まれるのは困る・・・」
力ない台詞だった、一年前まではあんなに生き生きとしていたのに。
目が虚ろで話を聞いているのか聞いてないのか、引きこもりになってからこんな状態なのだ。
花の葉を撫でて悟空は笑顔でいなきゃと笑顔を作った。
もしかしたら元気になるかもしれないじゃん、またハリセンで叩いてくれる日が来るかもしれない。
顔をペチペチ叩いて自分に言い聞かせる。
悟空は座り込んで壁にもたれて、ぼんやり部屋を眺めている三蔵の手首を掴み無理やり立たせた。
「・・・何だ?」
「着替えるの、何日目だよソレ」
「さあな、別に面倒だからどうで」
「どうでもいいわけないじゃん、ホラ着替えてくる!!それから洗面もしてきなって!!」
三蔵の背中を押す、三蔵は仕方なしに動き始めた。
こうでもしないと絶対自分からはしないんだから・・・三蔵。
着替えている間に悟空は掃除機をかけて部屋を掃除し始める、三蔵は何もする気がないから。
自分がしないと、まったく手掛かる子供のようだ。
でも気持ちは分かる・・・三蔵があんな風になった・・・気持ちはすっごく分かる。
何も受け入れたくない、分かるよ・・・お葬式の時の三蔵を見てたら分かったから。
三蔵があんな風になったのは、三蔵のお父さんが事故で亡くなったせいだった。
それまでは引きこもりなんて三蔵にとって縁のない言葉だったのだ。
性格は不器用で感情を出すのも下手で、それでも自分の信念を持っていた。
将来の夢まで決めていた、しつこく聞いた時三蔵は嫌そうに“建築家”と言っていたから。
自分はお花の仕事があれば何処でも良い、三蔵に言ったら馬鹿にもせずそうかと頷いてくれた。
あんなに不器用で優しかった三蔵、それを変えてしまったのは三蔵の父、光明の死だった。
事故死、交通事故で三蔵の父光明は亡くなった。
その日は大雨だったそうだ、耳障りな音が聞こえていたという。
大雨の中、三蔵と光明は傘を差して並んで家へ帰っていたそうだ。
かなり親思いな三蔵はその日、光明と一緒に食事を取ったらしい。
食事をしてゆっくりと帰っていた時だった、急に光明から押されて三蔵は倒れてしまったという。
すぐに起き上がり光明を見れば、目に映ったのは引かれる瞬間の光明の姿。
滴る血が印象的だったと・・・彼は呟いていた、自分達が連絡を受けて来た時にはもう光明はこの世を去っていた。
心を閉ざしてしまった、アレ以来三蔵は。
唯一の肉親を失ってしまった上に庇われて死んでしまった。
それが三蔵にとって耐え難いものになったんだと・・・思う。
感情を閉ざし、全てを拒否・・・そんな彼を見たくはないけれど。
そんな風になるのは仕方ない、だからいつか傷が癒えるまで傍に居るのだ。
自分にはそれしか出来ないから、無色の視界をいつか色付く日々が来るように。
花達が元気を付けてくれたんだ・・・だから、三蔵・・・も・・・。
「着替えた?三蔵」
「あー・・・着替えた」
「・・・・何やってんの、ボタン留めろよ」
「・・・面倒だ」
「子供じゃないんだから、もう」
悟空がボタンを留めてやる、一つ一つ留めている姿を見ている三蔵の視線は不思議そうだった。
全て留めてやると悟空はテーブルのところまで背中を押してどうにか座らせた。
「すぐ差し入れ持ってくるから待ってて」
「・・やっぱり・・・く」
「食わない・・・なんて言わないよね、俺が住むよ、一生住むよ?いい?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・食う・・・・・・・面倒だがな」
どうにか食べる宣言を確認して悟空はよしと頷いた。
引きこもりは意外にも我が儘だな、三蔵を見て苦笑する。
それに、日に焼けていないから肌真っ白・・・三蔵は元々肌が白かったけどさ。
「なぁなぁ、今日さ植木鉢持ってきたんだ、ちゃーんと土も」
「植木鉢?土?」
「そ、お花育ててみてよ」
「・・・・・・・あ?」
腑抜けというか間抜けというか、拍子抜けた声を出す三蔵。
何で俺がそんな面倒な、即座に却下を申し付ける引きこもりに悟空は駄目と反論した。
差し入れの煮物を取り出しながら、絶対やってみて!と言ってみる。
毎日毎日引きこもってばっかりじゃんか、だから暇でしょ?悟空は微笑んだ。
「イングリッシュラベンダーっていう、お花の種持ってきたからさ」
「・・・面倒だな・・・」
「いいから!!育ててみる価値ありだよ、花が咲いたら三蔵と同じ色だ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
植木鉢と種と土の入っている袋を押し付けて、ね?と悟空が笑う。
三蔵は眉を潜めて受け取るだけ受け取りそこら辺に置いてしまった。
仕方がないけど、いつか育ててくれると思う。
自分に言い聞かせて三蔵を信じることにする、いつかきっとそのお花を育ててくれるよね?三蔵。
「今度、外に遊びに行こう?三蔵」
「・・・・・・・・・・・・・・さあな」
「もう、そればっかじゃん」
「・・・・・・・・・・・・面倒なんだよ」
三蔵の言葉に悟空は苦笑いを浮かべるしかなかった。
>
-------------------
ブラウザバックでお戻りください(´∀`*)